ドラムの練習とは体に覚えさせること
ジャズドラムの練習とは
ドラムの練習とは自分が何を演奏しているのかを頭で理解し、それを体に覚えさせることです。体が覚えるということは頭では何も考えていないのに自然と演奏できている状態です。日常で人間が何も考えずに歩いていることは体が覚えているということです。歩く動作を頭で考えながら行っている方はいないと思います。練習の完成形は体が覚えれば完成になります。
ジャズドラムの練習で気をつける3つのこと
効率よく上達していくために気をつけておきたいことを3つ説明しておきます。ドラムが初めての方は変な癖がつく前に、下記の3つを参考にして練習してみてください。
①練習する時のテンポは必ずゆっくりから始めよう

練習する時は必ずゆっくりから始めてください。今までテンポの速い曲を聴いてきた方は速いテンポに慣れていて、体に速いテンポが染み付いていることがあります。その場合、練習する時にも速いテンポで叩いてしまう傾向にあります。速いテンポで練習しているとなかなか体が覚えてくれません。また音符と音符の距離がとても短いため、多少のズレも気がつきにくくなってしまいます。練習ではゆっくりから始める癖を身につけてください。
②頭で覚えるのではなく体が覚えるまで繰り返そう

ドラムの上達過程は大きく分けて3段階に分かれます。例えば初めて挑戦する課題があったとします。もちろん初めてなので間違えます。第一段階は「間違える」ということです。間違えながら上達していきます。この第一段階は誰もが必ず通る道なので落ち込む必要はありません。第二段階は「間違えなくなる」ということです。自分で叩いていることを頭で理解して、ゆっくりなテンポで練習していると間違えなくなります。少しだけ体が慣れてきているという証拠になります。多くの方がこの第二段階で練習を完成としてしまう傾向があります。ここで練習をやめず第三段階に向かってください。第三段階は「間違えれなくなる」ということです。言い換えれば完全に体が覚えている状態です。何回やっても出来ている状態です。練習している課題が体が覚え、勝手に動いている状態です。この段階まで練習できれば完成となります。
③マイナスワンを使って音楽と一緒に合わせよう

体が覚えたらマイナスワンの音源を使用して、実際にアンサンブルしている感覚を身につけましょう。マイナスワンとはCDのような音源でドラムパートのみが入っていない音源です。ドラムの教則本によくCDがついています。それらを購入しドラムを叩きながら合わせてみてください。個人的にドラムを練習している時とはまた違った楽しみが得られるかと思います。マイナスワンは教則本の付属のCDやiPhoneアプリがあります。いろいろと試してみてください。
ジャズドラムで必要になる3つの能力
ジャズドラムで最低限必要な能力についての説明です。大きく分けて3つの能力を紹介しています。これらの能力は練習や経験によって養われるものなので誰でも身につけることができます。
①感覚(タイム感・リズム感・小節感覚)

ジャズドラムで必要な感覚とは大きく分けてタイム感・リズム感・小節感覚があります。タイム感とは楽曲を一定のテンポに保ちながら演奏する感覚です。このタイム感を強化するにはメトロノームを使用することが必須になります。常にメトロノームを使って練習を行い、メトロノームに慣れてしまいましょう。リズム感とは4分音符や8分音符などを一定のテンポを保ちながら演奏する感覚です。ある程度のタイム感が身に付いてから、強化していきます。そして最後に小節感覚ですが、ジャズの楽曲では1コーラスの感覚を身につける必要があります。1コーラスとは楽曲のリードシートに書いてある小節数のことです。ブルース形式の楽曲では1コーラスは12小節という決まりがあります。他には32小節が一般的です。まずはブルース形式の12小節の感覚を身につけましょう。
②技術(リズム・テクニック・ルーディメンツ)

ジャズドラムを演奏することに必要な基本的な演奏技術はリズム・テクニック・ルーディメンツです。リズムは楽曲の基本的な土台になりますのでしっかり練習しましょう。リズムの練習で気をつけることはグルーヴです。ただリズムを叩いているだけではノリが生まれにくいです。ジャズにおけるグルーヴはスウィング感です。何度も自分の演奏を録音してグルーヴを確認してください。テクニックはとても時間がかかりますので長い時間をかけてゆっくりと練習してください。テクニックを習得すると体に負担をかけることなく多くのことが表現可能となりますのでぜひ習得してください。最後にルーディメンツですがスティックをコントロールするにあたって必須になります。これらは全てシングルストロークとダブルストロークの組み合わせで出来上がっていますので、まずシングルストロークとダブルストロークをある程度完成させてから取り組んでください。ルーディメンツを習得することでドラムソロに応用することができると思います。
③表現力(自分の音楽的イメージを両手両足を使ってドラムセットで表現すること)

表現力は音楽として本質的なものに関わってきます。本来、音楽は自分の中にある感情やイメージを音に出して表現するものです。ですので表現力は演奏者の音楽力にも関わってきます。ジャズはアドリブ主体の音楽であるため、過去のジャズ経験が表現力に大きく影響します。演奏中は頭の中の感情やイメージを両手両足を使ってドラムセットで表現しているのです。ですので子どもが言葉を覚えるような感じで多くのジャズミュージシャンの音源を聴いてみてください。アドリブやドラムソロ、楽曲に対してのアプローチ、スネアの音、ハイハットの音などドラマーによって一人一人違いますの勉強になると思います。自分自身の個性を磨いていってください。そして楽曲を聴きながら「なんでこのような演奏をしているのだろうか」と疑問をもったらいろいろと研究してみてください。
練習についてのまとめ
ドラムの上達には練習は欠かせません。しかし間違った方法や方向に練習しても、上達は望めません。上記のことを練習するときに意識してみてください。
練習で気をつける3つのこと
- ゆっくりなテンポに慣れる
- 体が覚えるまで繰り返す
- マイナスワンで練習
身に付ける3つの能力
- 感覚
- 技術
- 表現力
上記のことが身に付いてきたら、ようやくジャズの醍醐味であるアドリブの練習にはいっていきます。詳しくはアドリブをお読みください。