自分の言いたいことをドラムで表現するアドリブ
アドリブとは

アドリブとは前もって考えて作曲することではなく、演奏しながら瞬間的に作曲していくことです。ジャズドラムにおけるアドリブとは過去の知識や経験に基づいて瞬間的にドラムパートを構築していくことです。よって過去の経験が大変重要になってきます。周りのピアノやギターの音を聴きながら、どのようなドラムを演奏するのかを瞬間的に判断して演奏していく能力が必要になります。これは人間が言葉をしゃべる時と似ています。みなさんは普段、何気なくおしゃべりをしてますが、話している内容に沿って瞬間的に言葉を選んでいるのです。頭の中に浮かんでくる言葉が多ければ多いほど、表現が豊かになってきます。ジャズドラムも多くの楽曲を聴き、ドラムフレーズをコピーして体に覚え込ませることで表現豊かなアドリブができるようになります。
ドラムで自由に表現しよう
ジャズの楽曲のアドリブの順番について
ジャズの楽曲ではアドリブをする順番がある程度決まっています。楽曲は通常メインのテーマ(メロディー)から演奏されます。ピアノ・ベース・ドラムのピアノトリオの場合、テーマを演奏するのはピアノです。ベースやドラムはテーマを演奏することは少ないです。テーマが終わるとピアノソロになります。そしてピアノソロが終わるとベースソロになり、ベースソロが終わるとドラムソロになります。ドラムソロが終わると再びテーマをピアノが演奏して終わりとなります。以下にアドリブの順番を示します。
- テーマ
- ピアノソロ(アドリブ)
- ベースソロ(アドリブ)
- ドラムソロ(4バースソロ)
- テーマ
アドリブ部分は何コーラスでも構いません。3、4コーラスくらいアドリブをしたら次の奏者に代わってあげてください。
ジャズを演奏するときの小節感覚
ジャズの楽曲を演奏するにあたって、自由にアドリブをとるには小節感覚が必要なります。ジャズドラムを叩き始めて間もない場合、なかなかこの小節感覚が身に付きにくいです。例えばブルース形式ですと12小節なので、最初は12小節を数えながら叩けるようにします。そのためには4小節の感覚を先に覚えます。4小節の感覚を覚えたら、これを3回繰り返すと12小節になります。次に楽曲のコード進行の流れを理解します。音楽理論的な頭で覚えるのではなく、音源を聴いて耳で覚えます。これらを何度も繰り返すことによって小節数を数えることなく、12小節の感覚が体に染み込みます。この状態になれば完成です。
小節感覚を頼りに自由に演奏しよう
上記の小節感覚が身に付いてきたらアドリブの練習です。楽曲に対してどのようにドラムで表現していくのかを考える必要があります。楽曲のタイトルを見てそのタイトルからイメージできることを表現してもいいですし、自分なりの表現で演奏してもいいと思います。すべては自分で決めてしまっていいのです。これこそがジャズのアドリブの醍醐味となります。自由に演奏するといっても最初は何を演奏してよいかわからないので、たくさんの楽曲をコピーしてネタを増やしてください。そしてジャズバーなどのセッションへ積極的に参加してください。コピーをしてセッションへ参加するという流れでアドリブがどんどん上達していきます。
周りの音をよく聴きながら演奏しよう

ジャズのバンドの基本的な編成はピアノ・ベース・ドラムです。ドラマーはピアノとベースの演奏を聴きながら演奏していく必要があります。ピアノがアドリブをしているときはドラマーをどのような演奏をすべきか、ベースがアドリブをしているときはどのような演奏をすべきかを考えながら練習していきます。上記でアドリブは人間が言葉をしゃべる時に似ていると言いましたが、ピアノ・ベースを聴きながらアドリブするということは、自分を含め3人でおしゃべりをする時の似ています。1人がしゃべっているときには他の2人は何をすべきかを考えながらおしゃべりが進行していきます。相づちを打つのか、反論をするのか、しゃべっている人の意見に賛成するのかいろいろなことが考えられます。ジャズでは3人で1つの楽曲を創り上げていくことが目的ですので、より音楽的にアドリブをする必要があります。
ドラムで唄おう

ドラムソロ(4バースソロ)はドラマーのみでアドリブをとるセクションです。自分の言いたいことや表現したいことをドラムで表現していきます。ドラムは音階がない楽器ですが、素晴らしいドラマーの演奏を聴いていると楽曲のメロディーがドラムから聞こえてくるように伝わってきます。ドラムでメロディーを演奏しているのです。ドラムには音階がないですが、高音域のシンバル類や中音域のタムやスネア、そして低音域のフロアタムやバスドラムがあります。それらを音楽的に使ってメロディーを演奏しているのです。いろいろと考えて楽曲のメロディーをドラムで演奏してみてください。
アドリブのまとめ
最後にアドリブを練習する際の注意点をまとめておきます。
- アドリブの順番を覚える
- 小節感覚を身に付ける
- 自由に演奏するためにネタを集める
- 周りの演奏をよく聴く
- ドラムで唄う
上記のことが上手くできるようになっていたら、いよいよセッションに参加です。自分の練習の成果を試したい方はセッションへをお読みください。